空は、音もなく色をほどいていきました。
群青から淡い藍へ、
やがて、あたたかな橙へ。

雪に包まれた街は、まだ冬の静けさの中にあります。
けれどその向こうで、太陽は確かに、季節を次へと運んでいました。
電柱の影が長く伸び、
枝だけになった木々が、空に細い線を描きます。
それはまるで、今日という一日の輪郭のようです。

強く主張するわけでもなく、
ただ、そこに在る。
夕焼けは、不思議です。
沈んでいく光なのに、
心には、灯りをともしてくれるのですから。

雪解けの水たまりに映るもうひとつの空。
揺れながらも、確かに同じ色をたたえています。
私たちの毎日も、きっとそうなのだと思います。
揺らぎながらも、同じ願いを映し続けている。
今日もそれぞれの場所で、
それぞれの時間を過ごしたすべての人に、
この空が、そっと語りかけているようでした。
「よくここまで歩いてきましたね」と。

二月の終わり。
春はまだ遠く見えても、
光はもう、次の季節の準備をしています。
この静かな余韻を胸に、
明日もまた、やわらかな一日を重ねていけますように。

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